M.Y.さん、口元の後退に関するご質問ありがとうございます。 Eラインは鼻の先端と下あごの先端を結ぶラインで、このラインの上に上下の唇の先端が乗るのが良い口元とされています。 矯正治療を行って前歯を後退する場合は、このEラインに対する口唇の位置を治療目標としているわけです。
M.Y.さんの場合は、検査してわかったように、上下の口唇が7mm以上出過ぎになっており、単純に考えると上下の前歯を7mm以上後退しなければなりません。 今回は上下の犬歯の後ろの歯と親知らずを抜歯して、前歯を後退するわけですが、この抜歯した隙間(犬歯の後ろの歯の大きさ)が約7mmです。 従って、奥歯がまったく移動しないようにして、抜いた隙間に前歯を後退してもギリギリです。加えて、犬歯が八重歯になっていたり、側切歯が内側へ入っていたりすると、この歯を並べるために抜歯したスペーを消費します。 さらに、前歯の後退のためには、前歯と奥歯を引っ張りっこしますので、当然前歯も後退しますが、奥歯も少しですが必ず前方へ移動してしまいます。 このような理由で、抜歯しても口元の後退量はうまく行って7mmギリギリか、6mm以下しか後退できない場合もあります。
ここからが本題ですが、 この後退量を増加するためには、 1.奥歯の前方移動量を最小限にするか奥歯を後退すること。 2.鼻高くするか、下あごの先端部を前方へ出すこと。
この2つが口元の後退量(Eラインに対する口唇の位置を引っ 込める量)を増加する方法です。
1.の奥歯の前方移動量を最小限にすることと奥歯を後退するためには、一般的にはヘッドギアーと言われるかぶる装置か、矯正用のインプラントを使用する必要があります。 (ヘッドギアーとインプラントは当院HP参照)
2.の鼻を高くする事は我々矯正歯科医の守備範囲ではありませんので省きますが、下あごの先端部を前方移動することは外科手術を併用すれば可能です。
これらの、ヘッドギアーまたはインプラント、および下あごの前方部の前方移動(ゲニオプラスティーと言います)を行えばかなり満足した結果を得る事ができると思います。 また、裏側からの装置による矯正治療を希望されているようですが、前歯の後退量の大きい場合には、あまり適さないかも知れませんので、担当医と良くご相談下さい。
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