みゆさん、こんにちは!上の犬歯の逆性埋伏のご質問ありがとうございます。 さて、ご質問の趣旨が、犬歯が埋伏したことによる不安と大学病院の担当医に対する不信感の2つあるようなので、分けてお答えします。
まず、埋伏歯についてですが、上の犬歯の萌出方向の異常はかなり頻度の高いものです。逆性埋伏と書いてありますが、逆性とは何が逆かと言うと、歯ぐきの上に出る歯冠と呼ばれる部分と根が逆になっているという意味です。従って、上の犬歯であれば、歯の上下がひっくり返っており、最終的には鼻腔の方へ歯が生えてくる場合もあります。同じ埋伏歯でも、水平埋伏歯というのもあります。これは、生えてくる方向が90°横向きに倒れており、水平の方向を向いている場合です。逆性より水平埋伏の方が、隣の歯の根を吸収したり、押し倒したりして悪さを働きますので、子供の内に処置しなければならない事が多いです。一方逆性埋伏の方は、隣の歯などに迷惑をかけないのであれば、移動方向や速度をしばらく観察する事も多いです。これは、外科手術を行なって逆性埋伏歯を摘出することもできますが、手術して生体に侵襲を加えるだけのメリットがあるかどうかを見極める必要があるからです。水平埋伏の方が、悪さをする事が多い事は前記しましたが、矯正治療で水平埋伏歯を正常な位置に誘導して、治療する事ができる場合がかなり多いです。
さて、大学病院についてですが、しっかりと認識していただかなければならない事があります。それは、大学病院の社会的な主な役割は研究と教育です。 歯学部付属病院もやはり、研究と教育のために多くの患者さんを受け入れています。 一般的には、大学の付属病院というと「最高の病院」「最新の医療」「多くの優秀な教授陣」などとイメージされると思いますが、実際の姿は国家試験を合格して、お勉強は卒業したけれど、患者さんを担当した事がない一年生歯科医を一人前にする教育機関です。 従って、大学病院で治療を受けるという事は、新米歯科医が担当医になって、上の先生に教えてもらいながら治療を受ける所だとご理解下さい。ただし、必ず上のインストラクターを始め、教授、助教授が目を光らせていますので、ご心配なく。しかし、みゆさんご指摘のように、少し時間がかかってしまいますので、ごめんなさい。 また検査ですが、様々な角度やテクニックを使用して、埋伏歯の位置や性質を解明して、より患者さんの利益になる診療を行なう事が「研究」です。そのために、CTやらレントゲンやらを我々開業医よりはたくさん撮ります。しかし、それも医学の進歩に貢献しているとお考え下さい。けっして、実験動物のような扱いではないことはご理解いただきたいと思います。 このように、大学病院の性質上、担当医に対して不安になることもあると思いますが、担当医も必死ですので、心情を汲みいただけると幸いです。診療後の痛みについては、担当医に言ってみて下さい。適切な処置を追加してくれるかも知れません。 また、みゆさんのお嬢さんの担当の教授はきちんと説明されているようですから、心配されなくても大丈夫と思います。私も8年も大学の医局に在籍し、みゆさんと同じようなご質問を患者さんから幾度か受けました。なにとぞ、ご協力のほどよろしくお願いします。
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