ばいきんまんさん、こんにちは。下の第二大臼歯が倒れてしまったようですね。 費用については、厳しい状況ということはお察し申し上げます。
ここで歯の役割について、少しおさらいさせていただきたいと思います。 歯は上下のあごの間の柱の役割を果たしています。ピーナッツなどの堅いものでは約70kg、それほど堅いものではないリンゴでも40kg程度の力が歯に加わっていて、この力は歯で支えることになります。 歯には大きな臼状の臼歯が2本、小さな臼状の小臼歯が2本、コーナーの尖った犬歯は1本、ショベル状の前歯2本が上下左右の各セクションに配置されています。
さて、ばいきんまんさんの息子さんですが、下の12歳臼歯(第二大臼歯)が1本倒れていると言うことです。もし、この倒れている方向が第一大臼歯の方向(前方へ倒れて)であれば、倒れた第二大臼歯がその前方の第一大臼歯の根の後方部を溶かして破壊してしまう可能性があります。 これは、もうすでに始まっているかも知れませんし、これから10年後かも知れません。 この第一大臼歯の根が吸収されてしまった場合は、この第一大臼歯は抜歯しなけばならなくなります。つまり、現在問題が起こっている部分の第一、第二大臼歯を2本とも失う可能性があります。 このセクションの臼歯が失われる事は、これに対合(咬み合う)する上の奥歯2本も、咬み合う歯がないために、機能を失う事になります。 機能を失った上の奥歯は、放置すると徐々に伸び出して、円滑な咀嚼(物を咬みくだく行動)を障害したり、下の歯茎に食い込む場合もあります。結局機能を失ったこの部分の臼歯は上下ともダメになってしまう事になります。下の奥歯を失った段階で、部分入れ歯かインプラントという治療の選択となりますが、このような選択をしなければならなくなる前の治療をお勧めします。
前記したように、奥歯は上下のあごに配置された柱の役割を持っており、70kgというオーダーの咬む力を受け止めていますが、左または右の奥歯の機能を失うということは、東西南北の大きな柱のうち、東と南、または北と西の柱を失うことになり、左右どちらかの大きな支えを消失して、屋台骨が左右に大きく傾く事になるのは、想像するのが難しいことではないと思います。
矯正歯科治療には健康保険が適応されず、費用の負担が高額になるのは心苦しい限りですが、ぜひ上記のリスクが進行していないかどうか定期的に検診を受けながら、治療開始のタイミングを計らえる方が良いと思います。
また、解らない事がありましたら、書き込みお待ちしております。
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