大城さん、ご質問ありがとうございます。 文面から推察すると、息子さんは骨格性の反対咬合のようです。この骨格性の治療と治療結果の後戻りについて、ご心配されているようですね。 では、反対咬合の成り立ちにからご説明します。 同じ反対咬合でも、上の前歯が内側へ傾斜したり、下の前歯が外側へ傾斜したために咬み合わせが逆になる「歯性」のものと、上のあご自体が後退したり下あごが大き過ぎるために起こる「骨格性」のものがあります。また、この歯性と骨格性の要因がミックスされている場合や舌の癖が合併している場合もあります。 ここでは、可能性の強い骨格性の反対咬合の治療について述べてみます。
その前に上下のあごの成長について知らなければなりません。 実は上下のあごは風船を膨らますように、均一に大きくなるわけではありません。 上あごは鼻の底の骨ですが、前方へはあまり出ずに高さが増加していきます。 しかし、下あごはあごの関節の部分で長さが大きくなりますので、前方で下の方へ成長して行きます。従って、上下のあごの成長方向が下あごの方が前方成分が強いのです。 もう一つ、上あごは脳の入っている頭蓋骨と鼻腔を介して連結しているので、成長は脳などの神経型の影響を受けます。脳の大きさの成長は小学校3年生で99%終了してしまいます。しかし、下あごは手や足と同じ一般型の成長パターンを持っています。身長は女の子では小学校5年生から6年生あたりで、男の子は小学校6先生と中学校1年生あたりで、年間10cm近く伸びる時期があります。この急激な身長の伸びを「思春期性のスパート」と呼んでいます。
この2つの要素を考え合わせると、骨格性の反対咬合の子の下あごの成長が不利である事がわかると思います。従って、大城さんがご心配されているように、せっかくあごの位置の治療を行っても「後戻り」ではなく、下あごの成長によって、また反対咬合になってしまう事はそれほど珍しいことではありません。 しかし、小学校低学年のうちにあごの位置を治療しても無駄という事ではありません。 小学校3,4年生までに、上下のあご自体の位置をコントロールして、しっかりした上下の歯の正常な咬み合わせを作っておく事は、この思春期性のスパートの時期に上下のあごの成長のバランスを崩さないために非常に重要な要素です。
ただ、すべての矯正医がそのように考えている分けではなく、骨格性の下顎前突症は大人のなってから手術して治療すれば良いと考える先生もおりますので、ご承知ください。
装置の違和感や痛みについては、様々な装置がありますのでいちがいには言えませんが、やはり最初のうちは違和感や痛みがあります。しかし、1週間以内で気にならなくなれば特に問題はありません。むしろ、お父さんやお母さんが心配しぎて、痛いの?としつこく聞いたり、「すっげー装置だな」とか「オームみたい」とか発言してしまうと、本人が装置を使用するのを嫌になってしまいますのでご注意下さい。
少し長くなってしまいましたが、ご理解いただけたでしょうか?
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