口コミで矯正歯科をさがすならドクターぷらざ矯正歯科サーチ 歯科医院検索はこちら>>
矯正歯科検索 歯列矯正情報 矯正歯科相談掲示板
ドクターぷらざ矯正歯科サーチでは、矯正歯科の検索、歯科医師による相談のほか、
歯列矯正や歯並びに関するさまざまな情報を提供しています。


担当回答者(歯科医師)専用のページです。
ここで投稿すると下の相談に返信します。

回答者
医院名
ホームページ
E-mail
*回答者用パスワード
題名
*メッセージ
相談掲示板

開咬でインプラント矯正です。
2007年9月10日(月)15:36:10相談者:さっちまん 【兵庫県】 女性 44歳
15歳の女子。かかりつけの歯科医院で開咬と診断されました。月に二度来る矯正のDrに治療をお願いしました。最初は手術が必要と言われたのですがその後矯正だけでいけるといわれました。上前歯(4番目?)を2本抜きました。その後インプラント矯正が必要と言われました。歯科の先生は矯正のためのインプラントを入れるのは初めてと言うことで少し悩んだのですが普通のインプラントはたくさんやっておられるようですし何より長年お世話になり信用しておりましたのでお願いしました。おととい上顎に設置したのですが夕べからぐらつきだし痛みも出たので今朝撤去しました。もう片方はきちんと入っています。入れ替えは骨が再生するのを2ヶ月ほど待って再度入れるといわれました。どうも位置が低すぎて骨が薄い部分だったようです。後々奥歯を落とす矯正も必要なのでインプラントは不可欠のようです。両方のDrを信じてお願いしようと考えているのですが、不安なのは色々手を入れた後外科的でないと無理という結果になることです。開咬はインプラントで必ず直せますか?おしえてください。

Re:インプラントで開咬は必ず治せるか?
2007年9月14日(金)20:37:43回答者:小笠原 潤治 ウイズ矯正歯科編集
 さっちまんさん、こんにちは!難しい質問ありがとうございます。
 まず、矯正治療に限らず、人間の体を扱う「治療」には、必ずという事はないとお考え下さい。
 色々とイジられて、やっぱり手術というのは嫌という気持ちは解りますが、ではインプラントの可能性を捨てて、最初から手術を選択すべきだったのでしょうか? 担当医としては、手術しなくてもインプラントで治療できる可能性があるので、患者さんの同意が得られれば、インプラントでの治療を行ないたいと言うことだと思います。従って、少しキツいですが、インプラントを使用しても、後でやっぱり外科処置が必要という事になる可能性があると言う事はご理解下さい。
 少し角度を変えると「インプランントを使ったから100%治る」とか「手術をしたから100%治る」という考え方自体がいかがなものでしょう??手術やインプラントは治療の手段を表しているだけで、開咬の原因に言及しいるワケではありません。
 開咬の原因を除去すれば、絶対に治るという事は言えるかも知れませんが、B先生が治療するとインプラントを使っても、手術しても治らないが、Z先生が治療するとインプラントも手術もせずに治るというのが、より現実に近い考えた方と思います。
 私はインプラントを使用する矯正治療を、韓国のペク先生に始めて見せていただき感動しました。その後、ペク先生はアメリカでも教壇に立ち、日本でもインプラントを使用する矯正治療についての講習会を開いていますが、本当に見事な症例ばかりでとても素晴らしい矯正センスをお持ちの先生です。北海道で勉強会を行なっていただいた時に、私が裏方をさせていただき、いろいろとお話もさせていただきました。しかし、同じインプラントを私が使ったからと言って、ペク先生と同じように、全ての症例を素晴らしく仕上げる事ができるかというと話は別です。
 少し、解っていただけたでしょうか?
 今のさっちまんさんのお気持ちは、ぜひ以前からお世話になっている一般歯科の先生と矯正歯科医にもお伝えしておいた方が良いでしょう。直接言いにくい場合には、手紙かメールを使ってみて下さい。担当医も頑張っていると思いますので、今、患者さんの気持ちを伝えておく事は、今後とても重要な事です。


Re:開咬でインプラント矯正です。
2007年9月15日(土)14:29:05返信者:さっちまん
回答いただきありがとうございました。“必ず”なんてことばを使って恥ずかしいです。インプラントをすると言われてから一週間、セカンドオピニオンを取らなくていいのかと悩み、任せしよう!と決心したはずなのにやり直しとなり、とてもナーバスになっていました。医学においてもそのほかのことでも“絶対”なんてありませんね。技術的にすばらしい先生を納得いくまで探すなんて事は今の状況では難しいです。(時間的にも経済的にも)今の治療計画に問題さえなければ、縁があってお世話になった先生方を信じてお任せするのが自然と思えてきました。手術をしてしなくても治せそうです、と言われた時感じた心から感謝する気持ちを思い出しました。心配するだけじゃなく家でできる事をできるだけ試してみます。とりあえずぽかんと口を開けて寝ている娘の口呼吸を直し、舌や唇の筋トレもはじめようと思います。ユーミーパタカラは持っているのですがインプラントを入れたらつかえなくなってしまったので何か他に良いトレーニング法があればおしえてください。

Re:開咬の原因論
2007年9月21日(金)13:12:34回答者:小笠原 潤治 ウイズ矯正歯科編集
 さっちまんさん、とても嬉しいお返事ありがとうございます。
 私がお答えした以上にご理解をいただき、驚いています。とても頭の良い方でさらに勉強もされているようですね!!

 ここからは、開咬という症状の成り立ちについてお話しします。私の私見もありますので、参考にできる所があれば幸いです。
 さっちまんさんのおっしゃるように「ぽかんと口を開けて寝ている娘の口呼吸を直し、舌や唇の筋トレもはじめようと思います。」という事が開咬の治療の最も重要な第一歩になると私は考えています。

 開咬の形態的特徴として、下あごの後方回転、上下臼歯の高位、上下前歯の低位(低位、高位は咬合平面に対して)が挙げられます。
 インプラントはこの臼歯の高位を骨の中に圧下する方向に移動して低くして咬み合わせを閉じ、さらに後方回転している下顎自体を逆に前方へ咬み込ませて咬み合わせを深くするために使用します。これは、開咬の形態的特徴から考えると非常に有効な方法で、上手い先生がやると劇的に治ります。しかし、下あごの後方回転や上臼歯の高位、上下前歯の低位の原因自体を除去する事にはなっていないのです。
 開咬の患者さんのほとんどの方は、舌を突き出して飲み込む癖と口呼吸を伴っています。実はこの舌の癖と口呼吸が開咬の「鶏と卵」なのです。
 
 まだ歯が生え揃わない乳幼児のおっぱいの飲み方は、上下の歯茎の間に舌を差し込んで上あごと舌の間に乳首を加えて吸いながら飲み込みのが普通の飲み込み方です。この時、もちろん上下のあごが咬んではいません。言い換えると上下の顎を咬まずに上下の歯茎の間に舌を突き出して飲み込むワケです。
 生後7から8か月になると下の前歯が生え始め、1歳半くらいには一番奥の乳歯以外の乳歯がだいたい生え揃って来る子が多くなってきます。上下の歯が生え揃って来ると、飲み込む時には上下の奥歯を咬んで、舌は上あごに押し当てて飲み込むようになります。
 つまり、おっぱいを飲んでいる時と歯が生え揃ってからでは飲み込み方が異なります。乳幼児の飲み込み方を乳児型嚥下、歯が生えてからの飲み込み方を成熟型の嚥下と言います。この2つの飲み込み方の支配神経は乳児型が顔面神経、成熟型が三叉神経(咬む筋肉の支配神経)と全く異なっています。この乳児型の嚥下が歯が生え揃ってからも続くと、上下の前歯は舌でこじ開けられて開咬が生じます。前歯が開いてしまうと、逆に舌を差し込まないと陰圧にできないので、常に舌が突出するようになるのが、一つの開咬の病因論です。

 また、口で呼吸する癖も開咬の大きな原因の一つです。
 口を開くと言うことは、上下の奥歯が咬み合っていない事を意味します。すると上下の奥歯はどんどん伸び出してきてしまうのです。上の奥歯は下方へ伸び出し、下の奥歯は上へ伸び出して、どんどん前歯は開咬が増悪します。さらに、奥歯が伸び出すと言う事は下あごが後方へ回転する事を意味します。

 また、口で呼吸するために、口腔内で気道を確保するために、舌は低位になり徐々に舌の筋肉に力がなくなって行きます。このため、さらに舌を上方へ持ち上げるのが苦手になり、前方または側方へ突出する事になります。
 このように、何重にも開咬への悪循環が始まることが想像できるでしょうか??
 この悪循環は「おしゃぶり」などの長期間の使用や「指しゃぶり」によっても、始まってしまいます。



Re:開咬の成り立ちと舌や唇のトレーニング
2007年9月21日(金)13:14:28回答者:小笠原 潤治 ウイズ矯正歯科編集
 この結果、奥歯だけが伸び出してしまうので、口蓋に対して歯槽部分が伸び出してしまうので口蓋が高く、上顎の横幅の成長が舌の低位によって減少して、上あごが狭くなってしまいます。さらに上下の前歯は上下に開くだけでなく前方へも突出しますから、上下顎前突になる事が多く、上の歯列弓はV字型を示すようになります。この前歯の突出によって、さらに口が閉じずらくなり、口がぽかんと開いてしまうワケです。口が閉じずらく、いつも開いていると、唇の筋肉も弛緩してさらに口唇の閉鎖は困難になって行きます。

 ここまでの悪循環のいくつかは、さっちまんさんのお嬢さんにも当てはまっているのではないでしょうか?これらの悪循環を断ち切るためには、歯の位置や咬み合わせを治すことによって自然に機能も回復するという意見と、舌の癖や口呼吸、舌や口の筋肉のトレーニングを行なってこれらの癖自体の頻度を減らし、筋肉にも力をつける事を先に行なわなければ治療は難しいと考えるグループがあります。私の場合は、形態を先に治療しても舌の異常運動や唇、舌などの筋力の低下がある場合には、せっかく治療した歯並びが再び悪くなりやすいと考えています。

 私が大学病院にいた頃(今から17.8年前)は、舌を突き出さないように下の歯の裏側に針金を使ってフェンスやトゲ(クリブ)をつける装置(タングフェンス、タングクリブ)を使用していました。この装置を装着すると開咬は一時的に落ち着くのですが、3年以上装着した後、装置のフェンスやトゲ(クリブ)を小さくしていくと、また開咬が再発してしまいました。このため、私が開業してからはこの装置を単独で使用した事がありません。これらの経験から、舌の癖や口呼吸はそれ自体を治さなかれば開咬の原因自体がなくならないので、開咬は治らないのではないかと言う結論にたどりつきました。

 このために、舌の筋肉、咬む筋肉、唇の筋肉を総合的にトレーニングを行なって、今ある癖を止めると言うよりも、新らしい癖をつける練習を行なう事にしました。
 これが、MFT(maio-fanctional thrapy)です。

 MFTはアメリカで言語療法師の方達が言葉のトレーニングを行なっている間に、歯並びみに変化が起こって来る事を発見した事が始まりと言われています。これを体系化して歯科衛生士が矯正歯科の外来でトレーニングができるようにしたのが、ジックフーズ夫妻で、日本では神奈川の「おおの矯正歯科」の大野粛英先生が日本での中心になっています。
 舌のトレーニング法は、このジックフーズと大野先生のものが主流ですので、これを外さないようにされるのが、私のアドバイスです。
 パタカラなどの機具を使用した方法にも一理ありますが、それだけでアレルギーまで治るとか、表情筋のトレーニングは意味がないなどの開発者の失言(思い上がり)で、私はお勧めしておりません。

 MFTは経験のある歯科衛生士がどうしても必要ですので、誰でもできるというワケではありません。ぜひ、担当の矯正歯科医にMFTについてもお聞き下さい。長くなってゴメなさい。少しでもお役に立てれば嬉しいです。



ありがとうございます。
2007年9月26日(水)17:31:52返信者:さっちまん
丁寧な説明をいただき感激しています!ありがとうございました。
口呼吸や舌癖で開咬になってしまう様子がリアルにイメージできました。
娘の場合去年の2月の歯科検診で異常なしだったのが10月の時点で開咬と診断されました。実際その半年で下あごが後退して写真など見るとドキリとするほど人相が変わってしまいました。成長に伴う骨格の急激な変化で短い時間に進む事もある、と言うような説明がありました。
矯正の先生も舌癖や口の周りの筋力がない事を指摘をされましたが、筋力をつけるグッズなども売っているみたいですね・・・と言われた程度で、トレーニング指導はありません。
次回の診察のときMFTについて考えをお聞きしてみたいと思いますが今の歯科医院で指導を受けられる可能性は低いと思われます。他の施設を紹介してもらえたら一番良いのですが。
もしそれも無理だった場合、以前見つけたサイトに“口のまわりの筋機能療法”としてトレーニング方が詳しく書かれていましたのでそれを参考にしながら自宅で訓練する可能性について考えています。
誰にでもできるわけではない、とのご指摘もありましたが、最終手段として、まず私がマスターし娘に指導できればと思います。
そのほか鼻呼吸を誘導するため就寝時に使うテープとブレストレーナーを注文しています。
到着次第はじめようと思っています。

今回の開咬の件では何気ない習慣が体に与える影響を痛感しました。
娘には少しつらい思いもさせますが今まで病気1つせず元気で育ってくれた事に感謝し、これからも元気にいられるために色々学ぶべき時なのだと受け止め、前向きにがんばっていこうと思います。
またお力をお借りする事もあると思います。
今後ともご指導よろしくお願いいたします。




Copyright (C) ドクターぷらざ矯正歯科サーチ All Rights Reserved
www.dp-kyousei.net