ひろさん、乳歯の永久歯への交換期のご質問ありがとうございます。 下の前歯だけの事を考えると、確かに3つの方法がありますね!! しかし、この3つの方法が全部の永久歯が生え揃った時に、どのような違いをもたらすのかを考えてみましょう。
まず、2の「スペースを作るため乳歯の犬歯を抜いて様子を見る」の場合は、乳歯の犬歯を抜いたために、現在、1本は斜めに、もう1本は全く入らず後ろからはえて来ている両脇の2本の前歯の歯並びは多少良くなると思います。しかし。後から生えて来る犬歯の入るスペースがなくなって、左右の犬歯が外へ飛び出して生えて来るでしょう。
また、3の「このまま様子を見る」場合には、現在、傾斜したり後ろから生えて来ている前歯の位置はあまり変わらず、新しく生えてくる犬歯は多少飛び出る事にはなりますが、2の場合よりは飛び出ない事が予想されます。
1の場合には、あごの幅を広げる事が考えられますが、まだまだ不確定な要素が多く、どちらの方向に何ミリ広げれば、ちょうど収まるのか??さらに、本当にこの時期から治療を開始すれば、歯を抜かななくて済むなどのメリットがあるのかどうかの見極めが難しいと思います。すなわち、上記の2や3の方法とどの程度異なるのかは、あまりはっきり解らないと言う事です。さらに、あごを広げる事によって、上下の咬み合わせが、大きく狂ってしまった症例も拝見したことがあります。 しかし、私の後輩の大阪の先生は非常に上手く拡大しているのを診たこともあり、その先生の力量によって、大きく結果が異なる事になるでしょう。 ざっくり言うと、やはり矯正専門医によって拡大された場合は上手く行っている事が多く、矯正専門開業されていない先生の場合には、疑問が残る場合が多いような気がします。
以上、3つの方法の結果の予測はだいたいご理解いただけたでしょうか?? この時期のお子さんにおいて、我々、矯正歯科専門医の場合には、ひろさんとは、少し診るところが違っています。 1.上下のあご自体の位置にズレはないかどうか? 2.デコボコの歯並びや咬み合わせによって、あごをズラして咬む癖や下あごの成長 を歪むめる原因になっていないか? 3.舌を突き出して飲込む癖(舌癖)や口呼吸などの歯並びやあごの発育に悪い影響の ある癖がないかどうか??
以上は、放置すると今後の成長によって、さらに悪化する要素です。 これらの悪くなる原因を排除するための治療を「抑制矯正治療」として、必要に応じてこの時期からでも治療を開始する場合があります。
さて、この中には下の前歯の歯並びは入っていませんね! ちょっと極論すれば、多少下の前歯の歯並びが悪くても、抑制矯正治療の対象にならないという事です。
以上より、我々矯正専門医の場合は、下の歯並びを治すかどうかでは、あまり悩む事はありません。
結論的には
抑制矯正治療の必要のない方で、下の前歯以外にもかなり歯並びが悪くなりそうな場合には2か3を選択するでしょう。 また、少しだけスペースが足りなくて、最終的に歯を抜かないで治療できそうな場合には1もありです。
やはり、近所の一般歯科や小児歯科の先生にご相談されるのも結構ですが、一度、矯正歯科専門医にもご相談された方が良いと思います。 日本矯正歯科学会の認定医か専門医で、日本臨床矯正歯科医会のメンバーであれば、安心して相談してよいでしょう。 また、解らない事があれば、書き込みお待ちしております。
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